2014/10/09

今年もやってきた、犠牲祭 / Here we come again, the feast of sacrifice

今年もやってきてしまった、イスラム教徒にとっての一大イベントである、犠牲祭。
去年のブログにて犠牲祭のことは詳しく書いたので、詳細はそちらを読んでもらえたらいいと思いますが、簡単に述べると、イスラム教徒が羊を犠牲にしてアッラー(神)に捧げる行事です。

去年の経験から言うと、正直結構グロテスクな光景を伴う行事なので、正直「ああ、またやって来てしまったこの季節が・・・」という感じでした。血を見ることが嫌いな私には、生きたまま喉を裂いて殺し、その後皮を剥いだり臓器を取り出したりするので、到底まじまじと見れる光景ではありません・・・(涙)。一家族で羊一頭を犠牲にし、家族が多い家庭では2、3頭を捌きます。世界の人口の約5人に1人がイスラム教徒であると言われるくらいなので、どれだけの大量の羊がこの日に犠牲になるか想像すると、ものすごい数です。

この行事では、日本のお正月みたいにモロッコ国内外から家族が集まって一緒にお祝いする一大イベントです。この一週間前くらいから、交通機関は満席となり、モロッコ人の大移動が始まります。単身でモロッコに赴任している私のような外国人に気を使ってか、日頃からしょっちゅう「うちに食事にいらっしゃい」、「うちに泊まっていきなさい」というホスピタリティー旺盛なモロッコ人からの招待が、この季節は日頃に増して半端じゃない!!同僚以外にも、普段通っている八百屋のオヤジにも招待されて、皆さん本当にありがたいです。(←むしろちょっとしつこいくらいの人もいる・・・)

2人のアソシエーションにて活動する私は、両アソシエーションの同僚からありがたいことにたくさんのアンビテ(招待)を頂いて、どの家に行こうか迷ったくらいですが(笑)、結局日頃からお世話になっている手芸グループのリーダーのお家に前夜から泊まりでお世話になることにしました(そのかわり、前泊しに行かなかった女性からは「なんでうちにこなかったの!」と突っ込まれる・・・)。

リーダーのお家に夜に着いたら、このお家は二家族いるので、既にもう一頭の羊を捌いており、犠牲祭が始まる前から既に羊肉のブロシェット(串焼き)を夕飯で頂くことに。。。もう一頭は翌日の犠牲祭本番の日に捌くとのこと。ちなみに、このお家では自宅の裏に羊を数等飼っているので、そのうちの雄二頭を犠牲にするようです。
羊の脂肪を肉にぐるぐる巻いて焼く

この子たちのうちの大きめの雄二頭が犠牲になった。。。

モロッコに来てから肉はあまり食べないようになった私ですが、新鮮な羊肉は臭いがしなくって、結構美味しい!せっかく犠牲になったお肉ですから、ありがたく頂戴しました。

そして、お祭り前夜に女性が行うのは、ヘンナ。通常は手や足に可愛いお花の柄を描いたりしますが、私はヘンナの匂いが苦手なので、ちょこっとだけ手に文字を書いてもらいました☆
ヘンナで文字を書いてもらった。
"Awashruk mabrouka"
"Awashruk"はイスラム暦の月の10日目を表し、犠牲祭は
イスラム暦の12月(最後の月)であるヒジャの10日目にあたるために、
こういわれる。"mabrouka"は「おめでとう」を意味する。


翌日、犠牲祭本番の日は、まず最初に男性はモスクにお祈りに行き、国民の長であるモロッコの王様が自分の家族用に一頭、そして国民のためにもう一頭を捌き、それを合図に国民たちも一斉に羊を捌きます。しかし、この家の長であるお父さんは、朝のモスクでのお祈りの後、親戚の家にナイフを持って出かけ、羊を捌く出張サービスに出かけて行ったようでした。いつ帰ってくるのか分からないので、とりあえず集落にいる私の同僚の女性たちにも挨拶に出かけようと思って、リーダーと一緒に集落を巡回。

家では大体奥さんがお茶とお菓子を用意して待っていて、近所の人たちが家を巡回して「おめでとう」の挨拶をしにくるのを受け入れます。私もリーダーと一緒に「おめでとう」の挨拶をして周り、「お茶して行きなさいー!」のコールを断りながらも(←一軒一軒お茶飲んでたら、半端じゃなく時間がかかる上に糖分摂取量が半端じゃない!)、結局10軒くらいは廻ったかと・・・。もう10月上旬だというのに、この地域の太陽の日差しはまだ強くて暑い・・・。


所々で男性たちが羊を捌いている様子が見えたけど、あまり見たくないのでそのまま通り過ぎて、リーダーの家に戻ってお昼を頂いて、結局出張サービスに行ったお父さんの帰宅を待てずに、私はもう1つの活動先の集落へ向いました。

こっちの集落でも、いつもお世話になっている同僚の女性たちの家を一軒一軒廻って、甘いお茶をもらい、もうお腹いっぱい・・・・。しまいには案の定「泊まって行きなさい」コールになるけど、まだ廻らないといけないお家があるからーと言って断って、グルミマ中心地の知り合いのお家にも挨拶しに行って、この日はもう店じまいー。お腹いっぱいです。

2日目も前日に廻りきれなかったお家にちょこっとだけ言って、お昼をごちそうになり(もちろん羊肉)、家にてちょっとだけ商品の試作品作ったりして、一日が過ぎました。
モロッコ式サロン(リビング)の
生地の端切れを使って作ったバッグ

最近注文が殺到している(!?)ベルベル刺繍巾着をちょっと応用して、
サテン系の生地にキラキラの糸を加えて刺繍してみた

なんかでもミシン使ったり刺繍してたら目が疲れて、この日の夜あたりから体がだるい・・・。

休暇の3日目は仲良しのモロッコ人女性のお宅に招待されたので、彼女のところでお昼を頂き、ブロシェット(串焼き)作るのを手伝ったりしました。

それにしても、一度捌いた羊のお肉は、頭から臓器、そして足まで、本当に一頭丸々と頂くのですね。てっきりこれはゴミになるんだろうなーと思っていた足まで、焼いて毛をとって、そしてその周りにある肉を食べるようです。ちなみに、剥いだ毛皮は干してその後カーペットとして使われたりします。


臓器もぐるぐる巻きにして、1ヶ月間日干しにして水分をとばて干物のようにして、1ヶ月後にあるアショーラの時にクスクスに入れて食べるのです。
「コルダーツ」と呼ばれる臓器を干したもの

4日目には、「スボア」と呼ばれる赤ちゃん出産を祝う集まりが集落であり(←これは別に犠牲祭とは関係ない)、それにおよばれしてたので再び集落へ。いつも集落のスボアには100人近くの男女が集まり食事をするのですが、体調不良の私には不特定多数の人が集まり、恰幅のいいおばちゃんたちにぎゅうぎゅう押されながら、言葉(ベルベル語)もろくに分からないまま1つの場所に2、3時間留まるのはしんどかったので、ちょっと遅れて行ったら、ちょうどご飯が出る直前だったみたいで、滑り込みセーフ・・・。といっても、本来は食事が出る数時間前から集まって、集落の人たち同士で「最近どうー?」みたいな世間話を楽しんだり、コーランの一説を読んだりするのがこういう集まりの意義だったりするのかな、と思うので、食事だけ食べに来たみたいな私は本当はあまり良くないのかもしれませんが・・・(汗)。

もう犠牲祭は終わったので学校や行政機関、会社などは始まっているようですが、集落の女性たちはこの時期の結婚式ラッシュなどでまだ忙しいようで、活動が再開するのは来週となりそうです。とりあえずそれまでは、商品のカタログ作りやアラビア語とフランス語の勉強にでも励もうと思います。

改めて、いつも私を温かく迎え入れてくれるモロッコ人の人たちに感謝♡
今年もお腹も心もいっぱいの犠牲祭でした。
Mabrouk l'Eid! 

0 件のコメント:

コメントを投稿