突然ですが、皆さんはナツメヤシを知ってますか?
ナツメヤシはモロッコでは「ツマル」と呼ばれ、英語では「デーツ」と呼ばれる、甘い実を持ったヤシの木のことです。
ナツメヤシは中東や北アフリカでもたくさん目にしますが、モロッコでは主に南部の内陸の乾燥した砂漠地帯に多く見られます。私の任地グルミマもその地帯にあたり、グルミマを小高い丘から見ると、以下の写真のように見えるのですが、この緑のオアシスの多くがナツメヤシの木です(他にも、オリーブの木もたくんさん生ってます)。
1年半近くグルミマに暮らして、村の人たちの生活を見ていると、このナツメヤシたち(モロッコでは「ツマル」と呼ぶので、ここでも以下「ツマル」と呼ぶ)は、いろんな場面で活躍して、多くの村人たちに恵みをもたらしていることが見えてきました。そこで、今回はなかなか知られていないツマルくんたちの活躍っぷりを紹介したいと思います。
(1)食べる
まずツマルと聞いてフツーに考えられるのは、食すること。砂漠のまちに住むモロッコ隊員が「砂漠のカロリーメート」と命名してたくらい、実は栄養分が豊富なツマルくんたち。雨が少なくても育ち、長期保存ができるため、砂漠の民にとっても大切な食糧となっている。
生で食べること以外にも、ジャムにしたり、シロップにしたり、ペースト状にしたりと、色々加工する方法もあって、生で食べるのは苦手!という人(私も実はそう・・・)にも結構イケるのです。この前他の隊員に教えてもらったけど、ツマルジャムにケチャップと醤油とだしを混ぜると、おたふくソースの代わりとなるソースができるそうな!実際食べてみたけど本当に美味しかった!
そして、ツマルをミキサーでつぶして牛乳と混ぜて作るツマルミルクも、豆乳みたいな味で美味しかった!これは、ツマルをそのまま食べるのが苦手な人にもオススメです!
あと、以外に知られていないのが(?)、まだ熟れていない緑のツマルの実を食べること。私の活動する集落の人たちは、まだ硬く緑色の実をどんぐりのように拾って来ては、そのまま食べています。味は・・・・、というと、うーん、ちょっと苦くて私は苦手です。
他にも食べる方法は色々あるようですが、食べることに関してはこの辺まで・・・。もっと知りたい方は、自分で調べてみて下さい!
あと、ツマルを食べるのは人間だけではありません。集落の人がよく家で飼っているロバや、砂漠の民には欠かせないラクダくんの餌にもなっているのです。人間が食べるツマルよりも質の悪いツマルが彼らにはまわってくるようですが・・・。
(2)燃やす
モロッコの田舎の家では、女性たちが自宅で小麦粉を練って、釜戸で焼いて、パンを作っています。私の住むグルミマでも、多くの家がそうです。(場所によっては、パン生地だけ家で作って、パン屋に持っていって焼いてもらうというところもあるそうですが、グルミマでは私の知る限りほとんどの家が自宅にある釜戸で焼いてます)。
さて、この上の写真にある釜戸の左横に置いてあるものは一体なんでしょうか?
近くで見るとこんな感じ↓
実はこれ、ツマルの木の枯れ葉の部分です。パンを焼く際や、水瓶を温める際の燃料として使われているのです。写真の釜戸に、どんどんツマルの枯れ葉が詰め込まれ、火を絶やさないようにして、パンを焼きます。
この枯れ葉、聞いた話によると、好き勝手にどこから持っていていいというわけではないようで、各家庭が枯れ葉をゲットできるツマルの場所が決まっているようです(詳しくはまだ調査中なので詳細はよくわからない・・・。ツマルの収穫の時期にモロッコ人の同僚と一緒に収穫に行った時は、彼女の家から少し離れた所に、彼女の家族が所有するツマルの群れがあり、そこのツマルを収穫していたので、枯れ葉もそこから得るのかな・・・?)
(3)使う
ツマルの木は他にも、家庭で使う道具諸々として活躍中!
例えば、ツマルの木の枝を束ねたほうき!
このほうきが結構使えるのです!例えば、家の中の埃を払うとか、家畜の小屋の掃除とか・・・、いろんな場面でこのほうきが活躍する場面を見たことがあります。
そして、上記にも説明したパンを焼く時、パンをひっくり返す棒にも、ツマルの枝が使われている。硬くて頑丈だからだろうか・・・。
その他、ツマルの枯れ葉は編んで籠バックとして使われたり、鍋敷きやパン入れとして使われています。
ちなみに、この鍋敷きやパン入れは女性が編んでいるのをよく見ますが、籠バッグは男性が編んでいるのしか見たことがありません。
他にも、私がまだ知らないツマルの使われ方が色々あるのでしょうが、これまでに紹介しただけでもいろんな使われ方があります。日本では、こうやって自然の恵みをフルに活かして生活することが忘れられて来ているし、その方法を知らない世代も増えているのが現状かと思います。
このようなモロッコの田舎の生活は、不便なところもあるけど、日本人私たちが忘れかけている、自然と共存することや、大量消費のモノに頼らない「豊かさ」があるように感じます。
日頃の活動では私が女性たちに何か新しいアイディアや手法を教えることが多いですが、彼女たちや他の集落の人たちから教えてもらうこともたくさんあり、毎日色々学ばせてもらっています。
そんな機会を私にくれた、青年海外協力隊という制度にも感謝。あと残り任期、8ヶ月程ですが、全力で頑張って行きたいと思います。
ナツメヤシはモロッコでは「ツマル」と呼ばれ、英語では「デーツ」と呼ばれる、甘い実を持ったヤシの木のことです。
グルミマの集落にあるナツメヤシの木 |
ナツメヤシは中東や北アフリカでもたくさん目にしますが、モロッコでは主に南部の内陸の乾燥した砂漠地帯に多く見られます。私の任地グルミマもその地帯にあたり、グルミマを小高い丘から見ると、以下の写真のように見えるのですが、この緑のオアシスの多くがナツメヤシの木です(他にも、オリーブの木もたくんさん生ってます)。
ナツメヤシに覆われたグルミマのオアシス |
1年半近くグルミマに暮らして、村の人たちの生活を見ていると、このナツメヤシたち(モロッコでは「ツマル」と呼ぶので、ここでも以下「ツマル」と呼ぶ)は、いろんな場面で活躍して、多くの村人たちに恵みをもたらしていることが見えてきました。そこで、今回はなかなか知られていないツマルくんたちの活躍っぷりを紹介したいと思います。
(1)食べる
まずツマルと聞いてフツーに考えられるのは、食すること。砂漠のまちに住むモロッコ隊員が「砂漠のカロリーメート」と命名してたくらい、実は栄養分が豊富なツマルくんたち。雨が少なくても育ち、長期保存ができるため、砂漠の民にとっても大切な食糧となっている。
ツマル祭りにて売られるツマルくんたち @エルフード(モロッコ) |
そして、ツマルをミキサーでつぶして牛乳と混ぜて作るツマルミルクも、豆乳みたいな味で美味しかった!これは、ツマルをそのまま食べるのが苦手な人にもオススメです!
あと、以外に知られていないのが(?)、まだ熟れていない緑のツマルの実を食べること。私の活動する集落の人たちは、まだ硬く緑色の実をどんぐりのように拾って来ては、そのまま食べています。味は・・・・、というと、うーん、ちょっと苦くて私は苦手です。
他にも食べる方法は色々あるようですが、食べることに関してはこの辺まで・・・。もっと知りたい方は、自分で調べてみて下さい!
あと、ツマルを食べるのは人間だけではありません。集落の人がよく家で飼っているロバや、砂漠の民には欠かせないラクダくんの餌にもなっているのです。人間が食べるツマルよりも質の悪いツマルが彼らにはまわってくるようですが・・・。
分かりにくいけど、右の赤いたらいみたいな入れ物の中にあるのが、 ロバくんの餌のツマル |
(2)燃やす
モロッコの田舎の家では、女性たちが自宅で小麦粉を練って、釜戸で焼いて、パンを作っています。私の住むグルミマでも、多くの家がそうです。(場所によっては、パン生地だけ家で作って、パン屋に持っていって焼いてもらうというところもあるそうですが、グルミマでは私の知る限りほとんどの家が自宅にある釜戸で焼いてます)。
同僚の女性の家の釜戸@グルミマ |
さて、この上の写真にある釜戸の左横に置いてあるものは一体なんでしょうか?
近くで見るとこんな感じ↓
実はこれ、ツマルの木の枯れ葉の部分です。パンを焼く際や、水瓶を温める際の燃料として使われているのです。写真の釜戸に、どんどんツマルの枯れ葉が詰め込まれ、火を絶やさないようにして、パンを焼きます。
ツマルの枯れ葉を燃料として使って焼かれたパンは美味しい〜! |
この枯れ葉、聞いた話によると、好き勝手にどこから持っていていいというわけではないようで、各家庭が枯れ葉をゲットできるツマルの場所が決まっているようです(詳しくはまだ調査中なので詳細はよくわからない・・・。ツマルの収穫の時期にモロッコ人の同僚と一緒に収穫に行った時は、彼女の家から少し離れた所に、彼女の家族が所有するツマルの群れがあり、そこのツマルを収穫していたので、枯れ葉もそこから得るのかな・・・?)
まだ緑のツマルの葉っぱ |
(3)使う
ツマルの木は他にも、家庭で使う道具諸々として活躍中!
例えば、ツマルの木の枝を束ねたほうき!
このほうきが結構使えるのです!例えば、家の中の埃を払うとか、家畜の小屋の掃除とか・・・、いろんな場面でこのほうきが活躍する場面を見たことがあります。
そして、上記にも説明したパンを焼く時、パンをひっくり返す棒にも、ツマルの枝が使われている。硬くて頑丈だからだろうか・・・。
ついでに私もパン焼いてみた・・・。熱い・・・! |
その他、ツマルの枯れ葉は編んで籠バックとして使われたり、鍋敷きやパン入れとして使われています。
パン入れを編む女性 |
籠バッグを編む男性 |
他にも、私がまだ知らないツマルの使われ方が色々あるのでしょうが、これまでに紹介しただけでもいろんな使われ方があります。日本では、こうやって自然の恵みをフルに活かして生活することが忘れられて来ているし、その方法を知らない世代も増えているのが現状かと思います。
このようなモロッコの田舎の生活は、不便なところもあるけど、日本人私たちが忘れかけている、自然と共存することや、大量消費のモノに頼らない「豊かさ」があるように感じます。
日頃の活動では私が女性たちに何か新しいアイディアや手法を教えることが多いですが、彼女たちや他の集落の人たちから教えてもらうこともたくさんあり、毎日色々学ばせてもらっています。
そんな機会を私にくれた、青年海外協力隊という制度にも感謝。あと残り任期、8ヶ月程ですが、全力で頑張って行きたいと思います。
収穫を迎えたツマルをたくさん積んだロバくん |
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