2013/05/17

モロッコ人のホスピタリティー / Hospitality of the Moroccans

最近、任地に赴任して活動を開始したばかりの同期隊員のFacebookやブログから、それぞれが活動で悩んだり、戸惑ったり、色々な発見があることが伺えます。

私も活動を開始して今日でちょうど2週間が経ちました。もしかしたら第1回目の活動スランプに入りつつあるかもしれません。。。

村落開発普及員の技術補完研修では、顧問の先生から「最初の3ヶ月間は現地の人々を知ること、関係性を築くこと、言語を習得すること、文化を理解すること、活動先を理解することなどに専念すればいいんだ。」みたいなことを言われていたので、あまり具体的なアクションは今までに起こしてこなかったのですが、最近活動先で一体どんな活動を求められているのか分からないときがあります。

最近毎日のように、「今日は何をやるんだい?」と団体役員の1人に聞かれるようになっりました。「そりゃこっちが聞きたい・・・!だって、まだどんな活動が求められているのかリサーチしている段階だから!」って感じですが、もちろん私だってリサーチばかりじゃなくて何か小さなアクティビティからでもいいからやりたい気持ちもあるのです。

もともと村落開発普及員(現在の職種名は「コミュニティ開発」)とは、専門的技術を教えたりする他の職種の隊員とは違って、ある意味「何でも屋」的な部分もあり、自発的に派遣先のコミュニティーでできることを探して、アクションを起こさなくてはいけないような職種です。もちろん合格時の「要請」(どんな活動が期待されるか書かれた用紙)はありますが、派遣された時には要請と全然違った活動を期待された、なんてこともあります。まぁある意味自由に活動できるし、逆に予期せぬことを活動としてやることになっても柔軟性を持って臨機応変に動ける必要があります。

私もこの「要請」によると、確かこんな活動が期待されてます。
●手工芸品や特産品開発や販路拡大を通して女性たちの現金収入を向上させる
●女性や子どもたちを対象とした識字教育や生活改善のための活動を行う
●その他、集落ごとの格差をなくすためにどんなアプローチができるか模索する

・・・っていう感じで、だいぶ大まかで、実際にこれらの目標を達成するための方法なんて書かれてません。JICAの事務所も教えてくれません!なので、自分で活動先団体と相談しながら共に模索して行動していかなければならないのです。

ある程度具体的にどんな活動をすればいいか頭にアイディアとしてあるものの、実際どうやってアクションに移していけば良いか分からなかったり、そもそも私はここで具体的にどんな活動を求められているのか知りたい、とカウンターパート(以下CP、受入先団体のこと)のAさんに相談してみました。

その時の会話の一コマ:
私:「私は外国人だから、モロッコ人とは異なる観点をコミュニティーにもたらすことができるんじゃないかと思う。」
Aさん:「ちょっと待って。君は『外国人』じゃないよ。君はこの団体の一員で、家族同様だよ。君は僕の妹同然だよ。だから、君が『私は外国人だから』なんて言うのは今回で最後にしてくれ。分かった?」

・・・じーん(涙)。。。Aさん、なんて良い人なんだ・・・!!

Aさんは私と同い年のモロッコ人男性で、私の活動のマネージャー的な存在です。彼は女性団体の役員の1人であり、時には女性たちの前で識字教育の授業を行ったり、団体の運営費を管理したりしている責任者の1人です。女性たちから見ると、先生であり、友達であり、お兄ちゃん的な存在です。そんな彼が「君は外国人じゃないよ、この団体の一員だから」と言ってくれて本当に嬉しい限りです。結局、近日中に私の今後の活動について役員と話し合う機会を設けてくれることになりました。

彼以外のモロッコ人もそうですが、皆本当に優しくって親切で、こっちはモロッコ人の手助けになれれば良いと思って活動に来ているのに、逆にこちらが助けられることが多いと感じる時も多々あります。

モロッコ人のホスピタリティーを感じるエピソードはこれ以外にもたくさんあります。

例えば、この前あった出来事ですが、活動から帰る途中に、村の道端で8人くらいの老若男女が何かを囲んで座り込んでいるではないですか。よく見たらその人たちの真ん中にあったのは巨大なクスクスの皿!みんな道端でクスクスを一緒に食べていたのです。

それを見たCPの1人が、「食べて行く?」と言ったので、「え、でも私あの人たち全然知らないんだけど・・・」と戸惑いながら言ったら、「いいんだよ、来なさい」と言って、私をその人たちの輪の中に連れて行ってクスクスを食べ始めました。クスクスを作ったと思われる女性からスプーンを渡されたのでクスクスを食べ始めると、私以外にも道を通る人が次々に輪に入ってくるではないですか。。。20人分くらいはあると思われるクスクスもあっと言う間に終了!でっかいお皿のみが残りました。これ、全部無料です!
左上の人の足に注目。この足に対するこの皿は相当でかい!
大きなスプーンがティースプーンに見える・・・!

巨大な皿のクスクスを見知らぬ人に振る舞い、それを道端で囲んで食べてもらう・・・なんて、日本じゃなかなか考えられないことですね。CPによると、グルミマの村落ではこういった光景が結構あるそうです。


そして、最近は住んでいるアパートの目の前にある仕立て屋さんのおじいさんと仲良しになり、毎日仕事帰りに彼の店頭でお茶を頂いてから帰宅してます。モロッコ人は初めて会う人に対しても「お茶飲むかい?」と言ってミントティーを振る舞ってくれます。私がこのおじいさんに初めて会った時も、もうあまり残っていない歯を見せながら「お茶飲むかい?」と言ってくれました。それがきっかけで毎日立ち寄るようになり、最近じゃ行かない日があると「昨日は来なかったね。どうしたんだい?」と心配してくれる程。

この仕立て屋のアフメッドじいさんはもう80歳ですが、毎日元気に洋服の仕立てをしています。ただ、ミシンの使い過ぎのせいか足があまりよくないようで、最近はモスクに行かずに店の中でお祈りをしてます。今日も「お祈りの時間だ、ちょいと失礼するよ」と言って「アッラーアクバル(神は偉大なり)・・・」と私がいる真横でお祈りを始めました。

幼少期から中学生までじいちゃんに育てられたじいちゃんっ子の私にとっては、なんだかじいさんと一緒ににいると心が落ち着きます。(しかし、いくらじいさんといってもナンパじじいも時々いるので油断大敵・・・!)
歯が抜けているせいか、いつも笑っているように見えるアフメッドじいさん

アフメッドじいさんと一緒にお茶を飲みながら店番をしていると、グルミマのいろんな人と知り合いになれます。学校の先生、修理工、破れたズボンの繕いを依頼しにきた青年、店に立ち寄ったベルベル人女性・・・。

時々アフメッドじいさんとお客さんが値段交渉をしているのを見ると、「アフメッドじいさんが作った製品、少しでも高く売れたら良いな」と思う自分がいます。普段は買う側なのでより安く買えるように値段交渉しますが、こうやって店頭にいると店の人の立場を垣間みることができます。こうやって物事を違う視点から見るのも良い勉強になります。

今はじいさんたちとフランス語中心で会話してますが、いずれはダリジャのみで話せるようになりたいところです。ちなみに彼のところによくお茶を飲みにくるもう1人のじいさんはベルベル語しか話せないようで、私とはほぼコミュニケーションがとれません。。。
いつももモロッコ茶ばかりもらって申し訳ないから、
今度は緑茶でも作ろうかなー

という感じで、モロッコ人は見知らぬ人にもホスピタリティー目一杯に振る舞ってくれます。ちなみに、今日は三食中二食はモロッコ人家庭に招待されて頂いてきました☆

そんな優しいモロッコ人に対して何か貢献できることはないかと毎日模索しながら活動している今日この頃です。


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