2013/06/02

自転車のある暮らしと深夜の夕食 / Life with a bicycle and dinner after midnight

もう早くもグルミマに赴任してからちょうど1ヶ月が経ちました。早いものでなんだかあっという間に過ぎた1か月だなーと感じます。活動もまだ現地調査の段階なので、具体的なアクションに移せるにはまだもう少し時間がかかりそうです。

そんな中、数日前にやっとJICAから活動に必要な自転車が支給されました!
その名も「ピカラちゃん」!
「ピカラ」とはダリジャ(アラビア語モロッコ方言)で「自転車」という意味です。
なので、直訳すると「自転車ちゃん」みたいな感じですね(笑)。フランス語だったら「マドモワゼル・ピカラ」とかになるのかしら(笑)。

まあそれはどうでもいいとして、この自転車があるおかげで今は活動範囲や時間も前よりもフレキシブルになってきています。

なにしろ、赴任してから最初の一定期間は安全上の理由からモロッコでは自転車に乗らしてもらえなかったのです。だから、私もここ1ヶ月はずっとグルミマと郊外の村を巡回するスクールバスに乗せてもらい、子どもたちに紛れながら活動先団体まで通ってました。

しかし自転車があることによって、活動後に帰る時間を気にする必要もなくなったし(もちろん暗くなる前には帰りますが)、今までは行ったこともなかった小さな集落にも回れるようになりました。最近は集落の近くを自転車で走っていると、必ず誰かから「AICHA!」(私のアラビア語名)って声かけられます。

もともと私の職種は村落開発普及員なので、村落を巡回して村の人々のニーズを聞き出して彼らの要望に答えられるような活動をするのが役目の1つです。自転車があることによって、そんな村落開発普及員っぽい活動がやっとできるようになったのかな!?と期待したいところです!


さて、グルミマの町中から2、3キロ程離れたところには、毎週土曜日にスークと呼ばれる市場が開かれます。前から行ってみたかったけど、徒歩ではちょっと遠いので自転車が来たら行ってみようと思ってました。

そして今週末、ついにスークに行ってきました!

でもまずはスークに行くまでの道のりで見た光景を紹介。

自転車を漕いでいると、町の建物の数が徐々に少なくなり、グルミマの周辺の山々の景色が見えてきました。なんと綺麗なところなんだー!とグルミマの良さを再確認!

景色を写真に収めた後、引き続き「ピカラちゃん」に乗っていると、今度は何だかオジサンたちが羊の群れを車の荷台に乗せようとしている。。。おまけに車の屋根の上に。見ていたら、オジサンたちに抑えられてメエメエと鳴きながらもおとなしく羊たちがどんどん車の荷台に乗せられていってました。無事に全部の羊が乗っかったのを見届けてから、引き続きスークの方へ「ピカラちゃん」と進みました。

そしてやっとスークに到着!入り口はこんな感じ↓

入り口の手前から、植物やら食べ物やらいろんなものが売られていました。
そしていざ中に入ると、野菜、果物、日用品、洋服、工具、などを売る人たちと地元の買い物客で賑わっていました。
これはあんまり賑わっているところの写真じゃないですが(笑)、
雰囲気としてはこんな感じの青空市場
なんと、こんなに玉ねぎを高く積んだトラックが・・・
日本だったら絶対に処分されている
こんなオンボロの靴までが商品になっている・・・。

そして中でもビックリしたのは、市場の会場に羊や牛がいたこと。興味本位で羊飼いのおじさんに話しかけてみたところ、これら羊は食肉として売っているとのこと。おそらくスークに来る前に車の荷台に乗せられていた羊たちも、食肉として売られていくのだろう。。。
羊は一頭ずつ紐で足を繋がれながらもおとなしく待ってました
牛と羊が仲良く同じ小屋の中に入っている光景も
タハルート(ベルベル人女性がまとう刺繍の入ったマント)
をかぶって帰路に着く女性たち

やっぱりスークを覗くとその国の日常生活や人々の暮らしを垣間みることができて、とても楽しいです。


そして、この日は前から家の前の仕立て屋さんのアフメッドじいさんの家に行って、帰省している娘さんやその他家族と一緒にご飯を食べるという約束をしてました。もともとは夕食だけだったのに、なぜか昼ご飯も来なさいと言われ、1日に二食も頂くことに。

お昼の時は、アフメッドの奥さんが家にあるかまどでパンを焼いている姿を目撃!なるほど、こうやってホブス(モロッコ式の平たいパン)を焼いているのかーと感心。

モロッコの家は外は質素でも中は幾何学模様の
家具やタイルがあってとても綺麗。そしてでっかい!

お昼はわりと平和に過ぎたのですが、夜に呼ばれた時はなんだかとても文化の違いを感じたので紹介したいと思います。。。

まず、私が活動後にお家にお邪魔したのが、夜9時過ぎ
日本では普通、もうこの時間では夕食は終わってますよね。でも、モロッコは大体夜7時頃に一度「グテ」と呼ばれるお茶やケーキを食べたりする時間があり、その数時間後の9時〜10時くらいに夕食をとるのが普通です。

前回アフメッドじいさんの家に夕食を食べに行ったときは、なんと夜11時半くらいから夕食が始まったので、また今回も遅くなることは覚悟してました。

9時過ぎにお家に行ってからは、奥さんの料理の支度を少し手伝ったり、親戚の子どもが来ていたので、その子たちに折り紙を教えたりして時間を過ごしてました。折り紙のカエル、鶴、ボールを作ったのですが、どうやら気に入ったようでずっと何度も折ってました。

そして夜11時45分頃。この時間までにグルミマ近辺に住む奥さん方の親戚がどんどん集まって来ていて、居間(こちらではサロンと呼び、モロッコ式のソファとクッションで敷き詰められた大きなお部屋)にたくさんの親戚たちや友達が集合。

・・・その人数、なんと総勢約20人
そりゃモロッコのサロンがやたらに大きい理由が分かるわ・・・と納得。。。

ちなみに、この時点でまだ夕食は始まってません

フランス語は話せる人が数人いたものの、親戚の10歳の子どもが私を気に入ったようで、ずっとダリジャで話しかけてくる・・・。嬉しいのだけど、ダリジャ本当に理解できないから疲れるし、お腹がかなり空いて胃が痛くなってくるし、眠くて目がしぱしぱしてくるし、気分は降下していく一方・・・。

夜12時過ぎてもまだ夕食は出てこない・・・。みんなサロンに座ってしゃべりながらミントティーをたしなみながらひたすら夕食を待っている・・・。かなり年をとっていると思われる親戚のおじいさんも疲れてしまってソファで横になって寝ている・・・。

本当に気分が悪くなってきたので、もう夕食は食べずに帰ろうかと思ったけど、そんなことしたら絶対に「なんで帰るの?!食べて行きなさい!」ってみんなから言われるだろうから、ひたすら我慢・・・。

そして、ついに夕食が出たのがなんと深夜0時35分!!
もうこれは夕食とは呼べないような時間帯・・・。親戚のヨボヨボのおじいさんもソファで寝ていたけども起き上がりました。

そして食事の前は、イスラム教の聖典の「コーラン」の一部を全員で読み上げる一種の宗教的儀式のようなものが始まりました。これが5分くらい続き、その後にやっと夕食が開始。ホームステイ先でも、他の家庭でもこの光景は見たことがなかったのでちょっとビックリしました。

これもこの夜初めて目にしたのですが、ここでは食事する時に男性と女性が別々のテーブルで食べていました。以前アフメッド宅にて夕食を食べた時はそんなことはなかったけど、今回は前よりも親戚の数が多いせいか、こうなっていたのかもしれません。ちなみに、確か前に本か何かで、モロッコの田舎では未だに男女別々に食事をするところがある、と読んだことがあります。

そして一旦食事が出ると、次から次へとどんどん違う皿が出て来て、フルーツまで食べ終えるまで約1時間。結局、お開きになったのは深夜1時30分頃でした。

食事が終わると結構あっけなくって、一斉に親戚たちが帰って行きました。みんなグルミマ郊外のわりと近いところに住んでいるので、ぞろぞろと徒歩で暗闇の道に散って行きました。

そしてなんといっても凄いなと思ったのは、食事を作った奥さん本人は、一切食事に加わらなかったこと、そして彼女が全ての食事をほぼ1人で用意したこと。娘さんと奥さんの妹さんは食事を運んだり、片付けたりするのを手伝っていたけど、それ以外の女性たちはずっとサロンに座っていただけでした。モロッコ人の奥さんって、大変なんだなあと思いました・・・。

という感じで、なんだかとても濃い土曜日を過ごしました。

でも、こうやってモロッコ人家庭に呼ばれることによって垣間みるモロッコ文化もとても面白いです。正直ちょっと疲れますが、相変わらず外国人をもてなすのが大好きなモロッコ人には、これからもお世話になりそうです。

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