昨年と同様、モロッコではラマダン(断食の月)の後の結婚式ラッシュがピークを迎えています。毎日連日、通りを祝福のためにクラクションを鳴らした車が通っています。
私の活動しているアソシエーションでも、実はラマダン前に1人、そしてラマダン後に1人、計2人の女性が結婚しました。モロッコでは、結構普通に見知らぬ人から「明日うちで結婚式あるからいらっしゃい」とか声をかけられることがあるのですが(ここは田舎の町だし、私が外国人だからかもしれないが)、同じ結婚式でも、知っている人が新婦あるいは新郎だと、式に行く側としても気合いの入り方(?)が違ってきます(笑)。
モロッコの結婚式のスタイルについては、ちょうど去年の
今頃にも書いたので詳細はそちらを見てほしいのですが、今回はその投稿に加えて新しい発見などを書こうと思います。
今回私が参加してきたアソシエーションの女性たちの結婚式は、通常大体3日間行われる結婚パーティーですが、2件とも2日のみでした。1日目は親族や友人、集落のご近所さんたちなどを多数集めて集団で食事をしたり、新婦が仲良しの女性たちとヘンナタトゥーをしたりするのですが、最後の晩のパーティーがやっぱり一番盛り上がるし、見ている側としても一番楽しいです☆
新郎と新婦が同じ集落や都市出身とは限らないので、新婦は新婦で自分の故郷で結婚パーティを行い、新郎は新郎で自分の故郷で結婚パーティを行うなど、場合によっては新郎あるいは新婦が不在のパーティーもあり、最後の晩に、新婦が新郎の故郷へやってくる、という場合もあります。またその逆で、新婦は故郷でパーティをやった後、故郷の人々に見送られながら、車に乗り込んで新郎の元へ出発するという光景も目にしたことがあります。まあ、新郎新婦の出身地や、家庭の裕福さ(特に新郎側、なぜなら新郎側の家庭が式の出費を全て負担するため)によっても、パーティーの盛大さやスタイル、日数、などが違ってくるそうですが。
アソシエーションのメンバーだった女性が結婚するということで、今回はアソシエーションの有志たちでお金を出し合って、新婦の女性のためにプレゼントを買っていました。プレゼントはたいてい、新居で使うであろう毛布やパジャマ、靴、砂糖(モロッコでは冠婚葬祭の時に必ず贈り物として砂糖が渡される)、ランプなどの日用品。アソシエーションのメンバーがこれらのプレゼントを持って、ドラムなどの楽器の演奏とお祝いの歌で賑やかに新婦の家に向います。
(本当はもっといいビデオもあるのですが、自分の顔がネットに出るのを嫌がる女性もいるので、
後ろ姿バージョンのみアップします。)
アソシエーションを出発して、新婦の家まで周りの集落の人々も巻き込みながらご一行は歩いて行きます。
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アソシエーションを出発して |
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集落を通って |
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狭い集落の道を通り、
オリーブやナツメヤシの木をくぐって |
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どんどんと人は増していく |
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そして新婦の家に到着 |
新婦の家の屋上には結婚パーティー用のテントが設置されていて、そこまでプレゼントを運び、新婦が赤いベールと緑のカフタン(モロッコのドレス)に身を包んで会場の端に座って、ゲストと写真を撮ったり、親しい女性が新婦にヘンナタトゥーをしたりしてました。
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新婦が座る席(この写真はラマダン前に行った結婚パーティー会場。
彼女の家の場合はテントは張らずにリビングで開いていた) |
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両足にヘンナ |
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手にもヘンナ |
新婦は両手足にヘンナをやりますが、実は新郎もヘンナを手足にやったりするようです(新婦のよりももっとシンプルですが)。
ちなみに、ヘンナの中に卵が置いてあるのを発見・・・。「この卵、何のためにあるの?」と聞いたところ、「これは、ヘンナを新郎新婦がやり終わった後に茹でて、2人に食べてもらうの。これで2人の縁が切れませんようにということを祈って。」とのような説明を同僚の女性がしてくれました(私のアラビア語の理解が正しければ・・・)。
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ヘンナの中の卵 |
そしてテントの中では男性も女性も子どももみんな踊りだし、結婚を祝います。まあある意味のディスコタイムみたいな感じですね。モロッコでは西洋のディスコみたいのなんて大都市にしかないし、モロッコ人がディスコにいくなんて習慣はないので、普段はみんなこういった結婚式で踊るのが好きなようです。
それにしても、モロッコ人の女性たちの腰の振りは半端じゃない!!子どもの時から馴染んでいるせいか、過去にベリーダンスをやっていた私から見ても本当に凄いくらいに激しく、そして上手に腰を振って踊るのです!私も誘われてちょっとは踊ってみるけど、しばらく踊ってないせいもあって、モロッコ人女性と比べたら全然動かないし、なんだかあまろ踊れなくってむしろ恥ずかしい・・・(笑)。
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男性も結構激しく腰振ったりして踊る! |
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参考までに、こちらは去年行った結婚式のテント内の様子。 |
踊り疲れた頃には陽も落ちて、この日はちょうどスーパームーンの日。集落のナツメヤシの森の影に浮かぶ満月があまりにも綺麗だったので、記念に撮影。
そしていつも結婚式やスボア(赤ちゃんの命名式)などでよく出るお決まりのメニュー(クスクスあるいはチキンの丸焼き→プルーンののった牛肉タジン→フルーツ)の食事が運ばれ(これはちょっと毎回だと飽きがくる・・・)、食事が終わると一旦休憩タイム。
この間に、新婦は服を結婚パーティー用に着替えたりしていました。
私が参加した一件のパーティーの方は、新婦が別の近くの町に住む新郎の家に向って出発するケースだったので、真っ白の西洋風ウェディングドレスに着替えていました(とはいっても過度な露出はイスラム圏では禁物なので、腕や首、髪の毛も全部隠れるようなドレスでした)。そして、ちょうど深夜12時頃に、皆が見送る中、ウェディングドレスに身を包んだ新婦が実家を出発し、親しい女性たちや家族が何人か付き添って、新郎がいる町へ車のクラクションを鳴らしながら出発していったのでした。どうやら、新郎の家族は家族で、彼の実家にて花嫁を迎えるために結婚パーティーをしているそうで、そこに新婦が車に乗って現れる、というシナリオだそうです。
そしてもう一件の方は、新郎はラバト出身だそうで、結婚パーティーのためにグルミマの新婦の実家に家族で来ていました。アソシエーションメンバーであり、ちょっとジュリア・ロバーツ似の美人でまだ20代前半の彼女なのですが、新郎は見た限り40代くらいのちょっと渋めで整った顔の男性。「どうやって知り合ったの?」と聞いたところ、「ネットで・・」とちょっと恥ずかしながら言っていました。モロッコの特に田舎に住む女性は、婚前に自分の生まれ育った集落を出て男性を自分で見つけることも簡単ではないようなので、親戚を通して知り合った人と結婚したり、こうやってネットを通して知り合った人と結婚することもあるようです。あと、モロッコでは男性の方がかなり年上の結婚も普通なようで、私の同僚の男性2人が冗談半分で「日本人の奥さんが欲しい」と言っていたから、「何歳くらいの?」と言ったら、「18歳〜20歳くらいの」と言っていました(ちなみに本人たちは、それぞれ25歳と30歳)。むしろそれくらい男性の方が年上の方が、安定した家庭を築けると思われているのかもしれません。
そして一旦の休憩中に、来客たち(特に女性)はもう少しフォーマルなドレスに着替えたり、化粧直しをしたりします(笑)。私も夕食までは普段活動で着るモロッコ風の服を着てましたが、休憩中にモロッコの女性のフォーマルドレスであるタキシータという2層のドレスに着替えることにしました。既に帰国した先輩隊員からもらったものなのですが、実はこの時初めてこのタキシータには袖を通したので、一緒に式に行った同僚に着せてもらいました(笑)。
そして、夜既に1時か2時をまわった頃に、再びパーティーの会場に戻り、今度は新郎新婦(というか主に新婦)による衣装のお披露目会が始まります。去年行ったパーティーでもそうだったけど、大体5着程のタキシータと白のウェディングドレスを交代で着て、来客たちにお披露目します。そして、新婦を日本で言う御神輿のようなウェディング用の台(うまく説明できない・・・)に乗せて4人の男性が持ち上げ、新婦は来客たちにお菓子たくさんをばらまきます。これがどうやら日本で言うブーケのような感じらしく、これをキャッチできると、自分も結婚できるとか・・・?同僚の女性たちはキャッチするので必死になってました(笑)。私はビデオと写真撮るので必死でそれどころじゃなかったけど・・・(笑)。
五着の衣装を披露する間に着替える時間がありますが、その間はゲストたちが音楽に合わせてよく踊ってます。私もちょっとだけ踊ったけど、30代にも突入すると、もう深夜過ぎは眠気に襲われ、疲労もたまってくるので、最後まで起きているのが精一杯でした(笑)。
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4着目のタキシータ姿 |
そして、パーティーは無事に朝五時頃にお開き。最後は新郎新婦がゲストたちに手を振って会場を後にし、新婦と親しい女性たちは、彼女が村を出て行ってしまうことを悲しんでか、みんな涙目になっていました。
ちなみに、このお披露目パーティーの時の顔写真(特に新婦の写真)は、ネット上での掲載を嫌がる新郎新婦もいるので、ここでは控えておきます。でも、綺麗な写真がたくさん撮れたので、お祝いのプレゼントとして一部を現像し、新婦の家族に渡そうと思うのですが、この日初めてモロッコで写真現像ということをしました。露出とかホワイトバランスとか、ちょうどいい具合に全部事前にPCで調整してからUSBに移して写真屋に持って行ったのに、写真屋ではAdobe Photoshopを使ってなんだかグーンと露出を上げるもんだから、全部の写真がなんだか白っぽくなって現像されて、ショック・・・・。本当はもっと綺麗に撮れているのに・・・。しょうがないけど現像された写真を受け取って、あとは写真とビデオをDVDに焼いて、新婦に近日中にプレゼントとして渡しに行こうと思ってます。
最初に書いたけど、やっぱり知っている人の結婚式は感動や満足度が違います。今回は充実した結婚式に参加させてもらいました。彼女の新しい門出を応援したいと思います☆