2014/02/27

衛生・環境・性教育@グルミマ / Hygiene, environment and sex education @ Goulmima

以前から書いているエルラシディアグループ派遣の活動の一つとして、先週末グルミマにて衛生教育、環境教育、そして性教育のプログラムを実施しました。

場所は、私が普段から活動している、グルミマ郊外の集落にあるアソシエーション(女性団体)にて。以前、アウフースの小学校にて啓発活動をやった時と似たように、今回も小学生を対象とした衛生教育(手洗い)、環境教育(ゴミについて考えるアクティビティ)、そして集落の女性を対象とした女性の性教育を日曜日に実施しました。

今回グルミマに来てくれたのは、看護師隊員1人、助産師隊員1人、村落開発普及員1人、教育省の方々2人、そして急遽参加してもらうことになった助産師を目指して勉強中の大学生1人。

午前の部の衛生教育と環境教育に関しては、地元の小学生たちにアソシエーションの人が事前に声を掛けておいてくれたのですが、なにしろ実施日は学校の春休みの初日の日曜日。何人子どもたちが集まるのか心配だったけど、開始時間前からぞくぞくと子どもたちが集まって、最終的にはなんと100人くらいの子どもたちが集まりました!

基本、私たちのスタンスとしては、いつかいなくなるボランティアたちではなくて、モロッコ人主体で企画を進めてもらった方が言語的観点からもスムーズだし、継続性があると思っているので(もちろん事前に実施者のモロッコ人に、こういうことをこのように進めようと打ち合わせはします)、この日の午前の部は、普段私と一緒に学校にて衛生教育を行っているカウンターパートの男性にお願いしました。

最初はアソシエーション会長から挨拶があって、私たちの自己紹介をして、その後すぐに手洗いの講座から。なぜ手洗いが大事なのか、いつすべきなのかなどを紙芝居を使って説明していきます。

そして、過去の隊員が作った手洗いの歌を子どもたちと一緒に歌って、その後は早速ゴミ拾い!その前に、グループ分けして、外に皆で出て、別の町から来てくれた村落隊員主導によるラジオ体操の準備運動!(音源はないから、1、2、3、4・・・みたいにやります)。


そして、4グループに分かれて集落のゴミ拾い開始!集落の畑や用水路など、普段ゴミ収集車が入って来れないようなところまで歩いて廻って、ゴミを子どもたちと一緒に拾いました。子どもたちは積極的にゴミを拾ってくれたので、すぐに持っていった袋はいっぱいになってしまいました。


約45分間ゴミ拾いをした後に再びアソシエーションに集まって、この日のプログラムの最初に習った手洗いの仕方に基づいて、子どもたちに一人一人手を洗ってもらいました。

その後は、ゴミ拾いのフィードバックとして、各グループ、どんなゴミがあったか、なぜゴミがあちこちに捨ててあるのか、学校や道、バスの中などを綺麗に保つためにはどうすればいいのかを考えてもらい、発表してもらいました。
途中、企画補佐に来ていた別のアソシエーションの若者たちが歌を子どもたちと歌い始めたり、カウンターパートがプログラムの内容を一部省略するような部分があったりして、思うように進まなかったりしたこともあったけど、とりあえず午前中のプログラムは、無事終了〜。

お昼ご飯は、アソシエーションにて鶏肉とパンを頂きました。

そして、午後の部は女性のための性教育。おそらく、集落の女性たち、特に普段アソシエーションにて非公式教育(何かしらの理由で学校に通い続けることができなくなった子ども向けの教育)の授業を受けに来ている女の子たちだったら、性に関するきちんとした教育を受けていないのでは、と思って、アソシエーションの人たちにも意見を伺った上で、今回この性教育をプログラムに入れました。

この日、実際に集まってくれたのは、非公式教育の女子生徒たちはもちろん、集落の中年の女性たちもたくさん来てくれて、途中から参加した人もあわせて、なんと100人近くでした!中には、既に出産経験もある中年女性もいました。みんなすごく真剣に聞き入ってくれて、講座後の質疑応答ではいろんな質問が飛び交っていました。

実はこの性教育の話を現地語(アラビア語かベルベル語)でできる地元の助産師あるは看護師が直前まで見つからずに、エルラシディアにいる助産師隊員と焦っていたのだけれど、直前に彼女が助産師を目指して勉強中の大学生(イーマン)に声を掛けてくれて、イーマンが来てくれることに!結局、彼女以外にも、前回タオスの学校で性教育の話をしてくれた教育省の女性も来てくれることになって、2人に話をしてもらいました。

イーマンは、前日に助産師隊員の作ったフランス語のパワポの説明を隊員から受けて、それに基づいて性教育をやってくれたのだけど、学生だとは思えない程しっかりと話していて、本当に素晴らしかった!彼女自身も、「私にこのような機会をくれてありがとう。良い勉強になった。」と言っていて、彼女にとっても良い機会になったようです。

この日の活動を振り返るための評価会を行ったのですが、その時に出たコメントとして印象的だったのは、性教育に参加していた女性たちが、性に関して知っているべきことを知らなかったこと、間違った情報(噂など)を信じ込んでしまっているということでした。企画後に出口で日頃から一緒に手工芸活動をしている女性に感想を聞いたところ、「とても良かった。ありがとう。」と言っていたし、その翌々日に活動先に言ったら、女性たちの間でも新たな学びが多かったようで、手工芸しながら、彼女たちの会話はずっと性教育で学んだことで持ち切りでした。この日の企画に来れなかった女性たちにもこの話は広がっていて、それだけ女性たちにとって反響が大きかったようです。

そして、午前中に子どもたちを対象に行った環境教育に関しても、参加していた子どもが帰宅してから親に話したりしたようで、息子が午前の部に参加していた同僚の女性1人が、息子が学んだゴミの問題に関して私に話を持ちかけてきました。

日本人ボランティアのグループが集落にやってきて、衛生教育や環境教育、性教育をやるっていうことは、集落の人にとっては結構インパクトのあることだったようです。これ一回きりにせずに、今後も地元の人たちを巻き込んでこのようなインパクトのある企画を行えば、少しずつではあるけれども、人々の教育、そしていずれは私たちのグループ派遣の大目標である、「住民の生活の向上」につながっていくのかなと思いました。

微力ではありますが、今後もこのような機会を集落の人たちに与えられたらいいなと思います。

2014/02/18

モロッコの教育について考える / My thoughts about education in Morocco

私は村落開発普及員という職種でモロッコの集落で活動していますが、実は配属先の省庁はモロッコの国家教育省エルラシディア支局という行政機関です。村落隊員はそれぞれの活動内容によって配属先が異なるので、同じ村落隊員でも村の役場に配属の人もいれば、私のように教育省配属の人もいるし、漁業組合での活動をする人は漁業省配属の人もいます。

私はなぜ教育省配属かというと、活動先のアソシエーション(女性団体)で非公式教育(のちに説明)や小学生の補習授業、女性たちの識字教育などの分野において教育省と協定を結んでいて、私の活動の柱の一つとして、教育面での支援が期待されているからです。私の場合、任地は支局から1時間離れたグルミマにあり、配属先の教育省エルラシディア支局には2ヶ月に1回くらい活動経過を報告しにいっていますが、日頃はそこで活動することはありません。

さて、最近学校保健の活動が始まったり、去年の10月頃から学校とアソシエーションで英語を教えたりと、なにかと学校やその他の教育現場に関わることが多かったので、今回モロッコにおける教育について考えてみることにしました。実際、私も教育に関してそこまで詳しいわけではないのですが、任地で聞いたことをできるだけ正確に書いてみます。


【教育全般に関して 〜グルミマの場合〜】
●学校での教育に関して
モロッコでは、小学校から大学まで、公立学校は無料(私立は有料)。小学校、中学校、高校、大学(専門学校もある)に分かれている。中学校、高校、大学の現場には行ったことがないのでここでは書かないが、小学校にならば活動として何度か行ったことがある。私が活動する集落の小学校には、教室が3つ程あって、一つの教室に大体30人くらいの生徒たちが勉強している。でも、教室の数が足りないので、学年ごとに教室を使う時間が決まっている。日本のように担任の先生が全ての科目を教えるみたい。ちなみに、体育や音楽、美術などの情操教育はあまり教えられていないそうで、小学校教諭や青少年活動の職種で活動している隊員たちは、情操教育の場を学校できちんと作るように働きかけている人が多いようだ。
私が学校保健の活動と英語の補習授業を行っている小学校にて

ちなみに、この前学校保健の活動をするために集落の小学校を訪れた時、生徒たちを一つの教室に集めて、これから手洗いの仕方を教えようってなった時に、学校の先生の1人が「朝ご飯だよ、まずは食べよう」と言い出して、生徒たちが待っているにも関わらず、先生たちだけが集まって、生徒がいない教室で朝ご飯を食べ始めてビックリ!私としては、そんな朝ご飯なんてどうだって良いから(っていうか、家で食べてくるものでしょう、普通は)、生徒たち待たせてるんだから早く始めようよって感じ。その間、生徒たちは大人しく静かに教室で待っていたみたいだけど、結局先生のそういう姿を見ながら生徒たちは育っていくのだから、大人になってもそれでいいんだって思ってしまう。実際、モロッコ人たちは全ての人ではないけど、平気で人を待たせたりする。

子どもは大人を見て育つ。大人が変わらなくちゃ、子どももなかなか変わらないのではないかと思う。

あと、幼児教育の隊員に聞いた話だと、幼稚園・保育園では先生が平気で棒を使うそう。実際に小学校では体罰を受けている生徒は見たことがないけど、確かに教室には大体棒が置いてある。もしかしたら黒板で遠いところを指すために使われているのかもしれないけど。。。

それと、話がちょっとズレるけど、モロッコの家庭では大人が普通に自分の子どもや人の家の子どもをこき使う。「スプーンもってきなさい」とか、「片付けなさい」、とか普通に命令し、そしてそれに対して子どもたちも普通に応じる。モロッコ人にとってはそれが当たり前なのかもしれないけど、私から見るとなんだか子どもは大人の召使いじゃないんだから・・・と感じる時もある。

●学校以外での教育に関して
以前はグルミマでは、学校に通えなかったり、通っていたけど通えなくなった(あるいは通わなくなった)子どもも結構いたそうで、集落の中年や年配の女性たちは、アラビア語やベルベル語は喋れるけど、読み書きはできない、という人も多い。そのために、集落のモスクやアソシエーション(女性団体)では識字教育が行われ、大人の女性たちに読み書きを教えている。また、学校に通えなくなった学生たちが、学校に通わなくても勉強を続けられるように行われる、非公式教育という仕組みがある。そして、学校の授業についていけない子どもたちのために、補習授業というのがある。これらの3つに関して少し詳しく書いてみる。

1)識字教育
識字教育とは、文字の通り読み書きの仕方を教えること。モロッコの場合、学校などで読み書きを習わずに大人になった成人(特に女性)を対象に、集落のモスクやアソシエーションにてアラビア語の読み書きの仕方を教えている。グルミマにおける非識字率はわからないけど、実際に喋ることはできても読み書きができない中年や年配の人に会ったことがある。(かと思ったら、中にはアラビア語やベルベル語はもちろん、フランス語も少しできる、なんていう中年女性もいたりするけど、それは珍しい。)

識字教育者のための訓練なんかも定期的に開かれるようで、一度参加させてもらった時は、そこに集まった教育者は30代〜50代くらいの人が多かった。

2)非公式教育
学校での教育が「公式」だとしたら、「非公式」教育というのは学校でないところで受けられる教育なのだろうか。非公式教育とは、何かしらの理由でこれ以上学校に通えなくなった若者たちを対象に、学校以外の場所で勉強の場を与え、学校に行ったと同じようなことを学べる教育制度のようだ。ただ私が思うに、学校に通っている子どもたちよりは圧倒的に学習時間は短いので、おそらく非公式教育の生徒たちは学力的には公式教育を受けた子どもたちよりも低いのではないかと察する。

私の活動先のアソシエーションでも、毎日この非公式教育の生徒たちが集まって勉強している。私の活動先の場合、この対象になっているのは集落の15〜19歳くらいの女の子たち。そして、先生は私のカウンターパートであり、アソシエーションの役員でもあるモロッコ人男性。毎日午後3時〜5時頃までアソシエーションにて授業を行っている。

授業の内容は、アラビア語、フランス語、理科全般、数学、社会、イスラム教などいくつかの科目があるみたい。日本の小学校のように、全科目を1人の先生が教えている。ある程度はカリキュラムが決まっているようで、それに沿った教科書もあるし、理解度を確認するための中間や期末試験もある。

私の活動先の場合、最初の1時間くらいは上記科目の座学、そして2時間目からは、私が一緒に商品開発と製作を行っている手芸グループの女性たちを先生として立てて、手芸を教わっている。
手芸グループの女性(中央)が先生となって、
非公式教育の生徒たち(両脇の女の子)に
編み物のやり方を教えているところ
フェズ刺繍のやり方を教わった子が練習中の刺繍
あと、時々手芸以外にもスポーツをやったりもしていて、毎週土曜日のクラスは外でサッカーをしにいったりしているみたい。座学におけるカリキュラムはある程度決まっていても、それ以外の授業でなにをやるかは、結構先生次第みたい。

ちなみに、先生のお給料は教育省から出るらしい。いくらかはわからないけど、先生を務めるカウンターパートに聞いたら、学校の先生よりもずっと安いらしい。

3)補習授業
上記の非公式教育の先生でもある私のカウンターパートは、実は学校の授業についていけない小学生を対象に、補習授業を行っている先生でもある。日本でいうならば、塾みたいなものだろうか。モロッコと日本で大きく違うのは、日本の塾は有料だけど、モロッコでの補習授業は無料。

先生は、地元に住む若者(10代後半〜20代前半)だったりして、教える科目はアラビア語やフランス語、算数、理科などのよう。若者が小さい子どもを教えるという意味では、これは日本の塾のバイトの先生にも似ている。

私が英語を教えている学校では、週に3回この補習授業が行われていて、私が英語を教えている土曜日には、いつも午後6時〜8時近くまで、この補習授業が小学校で行われている。土曜日の夜だというのに、そんなに遅い時間まで補習授業をやっているなんて、ビックリ!





【私の英語の授業に関して】
私は現在、2つのアソシエーションにて3つの英語の補習授業のクラスを受け持っている。対象は、英語を学校で学んでいる学生たち(16〜19歳くらい)で、毎回3〜10人くらいの生徒が各クラスに集まる。

みんないい生徒たちばかりで、学校での英語の授業が理解できない、あるいは理解していてもっと英語ができるようになりたい、という理由で来ているようだ。

中でも私から見ると興味深いのは、ほとんどの生徒が女の子ということ。私が女性だから、ということもあるのかもしれないけど、なんか同じ女性としては、女の子たちが自分で「学びたい」と思って、毎週私の授業に来てくれることはすごく嬉しい。その「学びたい」と思う気持ちが、彼女たちの未来を切り開くのではないかと思うから、その思いを大切にしたい。

教育を受けることは、エンパワーメントにつながると思う。知識があれば、将来の選択肢も増えるし、自分がやりたいことを遂行する力にもなる。実際、自分のこれまでの人生を振り返って、そう思う。

モロッコの田舎の方では、やはり女性は仕事には就かずに結婚し、家事を担い、それで一生を終える人も多い。実際に、「将来やりたいことは?」と10代後半や20代前半の女の子たちに聞くと、「結婚したい」という回答が返ってくることも多い。もし本人がそれでいいというのならば、それでいいと思うが、例えば「会計の仕事がしたい」という希望がある子がいたとしたら、そのためには会計の知識など必要となってくるだろう。

何か将来の夢を達成するために知識が必要なのであれば、その知識を得る機会があれば、その子の将来の可能性は広がるだろう。その可能性を広げるために、私の英語の補習授業や、手工芸の活動などが少しでも貢献できるならば、それに越したことはないなと思う。

2014/02/15

ベルベル刺繍の新商品たち♥ / Brand new Berber embroidery handicrafts♥

以前から行っている、2つのアソシエーション(女性団体)での商品開発が徐々に前進しています。

最近出来上がってきた商品たちをここで紹介します。

まずこちらは水色のタハルート(ベルベル刺繍のマント)。現地の女性が身にまとうものの半分サイズです。半分サイズなので、スカーフとして使うのにはちょうどいい大きさです。色も現地の女性は黒のものを身にまといますが、黒にはちょっと抵抗がある・・・という人向けに、もう少し優しい色合いの生地を使って作ってもらいました。





そして続いて今度は白のタハルート。こちらもとっても可愛い!大きさは上記のものと同じで、通常の半分サイズ。白にパステルカラーの刺繍がとても素敵です♥

こちらはまだ作っている時の写真。↓

そして仕上がりはこんな感じです!↓

お花の縫い方が特徴的です。彼女の縫うお花はいつも他の人が縫うお花の柄と少し違っていて、独特です。ちなみに、作った女性の名前は「ワルダ」。アラビア語で「花」という意味なんです。

そして羽織ってみるとこんな感じです。↓


そして、まだ完成していないのですが、ベルベル刺繍の巾着にもいくつか新作が登場する予定です!以前から女性たちと一緒に作っているベルベル刺繍の巾着はこちら。↓
2013年8月、最初に作ったベルベル巾着
 2013年の夏頃から女性たちと商品開発を始めて、もう9ヶ月近くが経ちますが、徐々に色合いやデザインもレベルアップしてきています。
新色の青が追加。デザインと作り方も少し改良。

そして2014年1月時点ではこんな感じのバラエティー

2014年の始めからは、黒と青だけでなくパステルカラーの生地や刺繍も取り入れるようにして、どんどん種類を増やしていっています。 
こちらは、現在製作中の色とりどりの巾着たち。↓

こうやって一つ一つが女性たちの手によって作られています。
巾着の紐に飾りのポンポンを付けているところ

まだ品質に関しては日本人からみると改善すべき点はたくさんあるのですが、現地の女性たちとの良好な関係を大切にしながら、徐々に徐々に一緒に良い商品を作っていきたいと思ってます。

これらの巾着が完成したら、またブログにてお知らせします!

2014/02/11

学校保健の活動が始まりました! / School health lessons start!

モロッコに赴任してあと1ヶ月で1年目を迎える頃、今日やっと学校保健の活動が始まりました!

村落開発普及員としての私の活動の全体目標は、グルミマのグリス・スフリ村の住民の生活を向上させること。その中の一つとして、手工芸開発と販売を通した現金収入向上のプロジェクトを女性たちとやったり、学生たちを対象に英語の補習授業を行ったりしているわけですが、それ以外に、小学生を対象とした学校保健の活動も以前からやろうと思っていました。

過去にエルラシディアに看護師隊員として学校保健指導をしていた隊員が作った、手洗い、トイレの使い方、歯磨きの仕方をアラビア語で説明したプラカードが残っているので、これらを活用してスフリ村の集落の学校で小学生を対象に指導をしていくという活動です。

ただ、私1人では言語的な壁があるし、私が去ったらそれが継続して行われないかもしれないので、できるだけ継続して続けてもらえるように、基本モロッコ人のカウンターパート主体で指導を行っていくようにしています。

私のカウンタパートは、アソシエーション(女性団体)の役員の1人で、私とあまり年齢も変わらないモロッコ人男性。普段は、非公式教育(何かしらの理由で学校に通えなくなった子どもたちを対象とするクラス)の先生をやっていて、いつもアソシエーションでは女生徒たちと賑やかに授業をやっています。常に笑顔で、彼が怒ったり落ち込んだりしている姿は見たことがないといってもいいくらいに明るい人です。

彼は日頃からとてもやる気があって、休みの日にまでアソシエーションに来て活動している時もあったりしてビックリ!この前は休みの日を利用して、アソシエーションの壁にミッキーなどのイラスト(何故かモロッコの学校にはミッキーのイラストが描かれていることが多い、笑)を自主的に描いていたり、自分1人でアソシエーションの掃除をしている姿を見かけたこともあります。

彼に、「学校で手洗いやトイレの使い方、歯磨きの仕方を小学生に教えたいんだけど、一緒に活動してくれないか」と大分前に話を持ちかけて、「いいよ、やろう!」と言ってくれたのだけど、歯磨き指導に必要となる歯の大きな模型が必要だったので、それを一緒に作ろうと言いました。

歯の模型はヨーグルトの空のパックを使って作ろうと思い、永久歯分の数のヨーグルトをひたすら食べ(笑)、空のパックを彼のところに持っていき、「こんな風に歯の模型を作ろう」と言って、先輩隊員が作った歯の模型の写真を見せました。

数日後にもう一度アソシエーションに行ったら、なんと彼は1人で模型を作り始めていて、既に5割は完成したような感じで、私もビックリしました。

そして最終的に私は手を出す必要がなく、彼1人で歯の模型を作ってくれました!↓↓



なんどもボンドや模造紙で補強していて、日本人以上に作業が細かかったりして、こりゃまたビックリ・・・。ほんとに素晴らしいデキです。。。そして、私がやった仕事といえば、ひたすらヨーグルトを食べただけ・・・(笑)。


そして、じゃあいつ授業を実施する?っていう話になると、彼もなかなか忙しい人なので、「来週ね」といいながらも結局その週は始められなかったりして、結局2ヶ月くらいが経ってしまった・・・。

でも、彼自身もやる気はあるので、やっと彼の予定が合った今日、学校に行って保健指導を開始できることになったのです!

私が活動する集落には小学校がいくつかあり、保健指導は全学年全クラスを対象としてやりたいので、巡回してクラスごとに進めて行きます。今日はまずアソシエーションから一番近い小学校の分校へ。1年生〜4年生までのクラスに行って、ちょっと急ぎ足ではあったけども、トイレの使い方、手洗い、歯の磨き方の指導を行いました。

カウンターパートもいくら日頃から生徒の前にたって指導することが慣れているとはいえど、ちょっと緊張したのか、はじめは紙を見ながら進めていたけど、そのうち伝えるべき内容も暗記してきたようで、どんどん調子良く進めてくれました。


授業の最後には、子どもたちと歌を歌っておしまい。歌が大好きな子どもたちは、何度も何度もアンコールを繰り返して、歌のお兄さんみたいに歌も上手なカウンターパートも、さすがに4曲くらい子どもたちと歌った後は疲れたようでした。

今日の学校での活動が終わった後で、いくつか気になったことを彼に聞いてみました。
以前集落のモロッコ人家庭に泊まった時に、どの家でもあまり歯ブラシを洗面所で見かけることがなかったので、「ここの集落の人たちは歯ブラシをみんな持っているの?」と聞いてみました。そうしたら、「そもそも歯ブラシを使って歯を磨くという習慣があまりない」と言っていました。じゃあどうやって磨いているのかと聞くと、手で磨いたりすると言っていました。以前、他のモロッコ隊員からも、「集落の人は歯ブラシを家族でシェアしていたり、そもそも持っていないこともある」と聞いたこともありました。

なんだか、歯ブラシを使って歯を磨くという習慣があまりない地域で、歯の磨き方の講座をやるのも微妙な感じもしましたが、歯はきれいに保たないと虫歯や口臭などにつながることは間違いないし、歯が茶色だったり、抜け歯が多い人も実際に集落でよく見るくらいなので、少しずつでもいいから、歯を磨くという習慣が広まってくれたらいいなと思います。

ただ、押しつけ的なやり方は嫌なので、もっと現状調査も必要だし、どうやって現地の人たちの文化や習慣により合った指導ができるか、これから考える必要があるなと思いました。

引き続き、他の学年や学校でも保健指導を続けて行く予定です。