昨日は、前に一度書いたエルラシディア県グループ型派遣の一環として行う予定になっている、「ゴミ拾いウォーキング」実施準備のためのミーティングで、エルラシディアに行ってきました。
このグループ型派遣は、JICAとエルラシディア県庁や、エルラシディア県内にて活動する隊員たちが所属する省庁である、教育省や保健省が協力して、エルラシディア地域の住民の生活を向上させるという取り組みです。
県庁とのミーティングのためにわざわざエルラシディアに行ったのですが、数日前に県庁の方が数名亡くなったために、ミーティングに出席予定だった県庁の関係者が葬儀に参列しているとのことで、彼なしに話が進められないため、結局ミーティングは延期になってしましました。
でも、私の配属先の教育省担当者のスアグさんの提案で、近日中に行う予定の「ゴミ拾いウォーキング」の参加者に、ゴミが人間や生態系に与える影響を考えてもらえるように、エルラシディア市内で収集されたゴミが焼却されるゴミ焼却場に行って、ゴミの現状を見て、その様子を写真に収めようということになりました。
スアグさんと他の隊員2人と一緒に車に乗って、エルラシディア市内から約10km、車で15分くらいグルミマ方面に向かった郊外に、そのゴミ焼却場はありました。辺りは一見雄大な砂漠の荒野が広がる自然の綺麗なところです。普段何度もエルラシディア〜グルミマ間を行き来しているけど、こんなところにゴミ焼却場があったとは全然知りませんでした。
私たちの車の前をちょうどゴミ収集車が走っていて、その車を追うようにして、私たちの車も、主要道路から舗装されていない荒野の道を進んで行きました。
しばらくすると、ゴミ焼却場と思われる場所が見えてきました。
茶色の荒野の中に小さく見えるのが、全部ゴミです。
そして、その奥には何だか黒いものが見えてきました。
これら、何だか分かりますか?
・・・・なんとヤギや羊の群れです!
ゴミの中から何か食べれるものを探しては、それを食しているようでした。
そして、その辺りには、ヤギや羊の群れの飼い主なのかわからないけど、男性や女性(中には赤ちゃんを抱えた女性まで!)がいるではないですか・・・。
スアグさんに聞いてみると、どうやら彼らはゴミの山の中から金目になるものを探し出しては回収し、それを仲介者に売っては生計を立てているようです。
そしてゴミ焼却場のすぐ近くには、ゴミの山を荒らしている人たちの住居なのか分からないけど、おそらくノマド(遊牧民)と思われる人たちのテントがありました。テントの素材は、もしかしたらゴミ焼却場で拾って来たのかもしれない古びたかなり簡易的なもの・・・。テントの脇では焚き火をして暖をとっている人も見えました。
この焼却場に持ってこられたものは、特に分別されることもなく、燃えるゴミも燃えないゴミも一緒に燃やされているようでした。
ゴミ収集の時に一切分別しないでゴミは持って行かれるので、多分そのまま焼却されているんだろうなとは思っていたけど、やっぱりそうだったのか・・・と、この現状を見て思いました。
ゴミを食べる動物たち、金目になるものを探してゴミの山をあさる人たち、そしてゴミ焼却場のすぐ横にテントを構えている遊牧民たち・・・。普段のモロッコ生活ではなかなか目にしない光景だったために、結構衝撃的でした。
スアグさんは、日本の技術を利用してどうにかしてこの状況を改善できないのか?のようなことを私たちに質問していたけど、私たちはゴミの専門知識はないし、1人や2人のボランティアがエルラシディアあるいはモロッコのゴミ処理の現状を変えるのは到底できないことです。
モロッコのゴミ処理事情は以前から気になっていたので、このような形でゴミ焼却場を見学出来たのはよかったなと思いましたが、じゃあ私たちが何ができるのか、ということを考えると、どうしたらいいのか戸惑ってしまいます。
日本のゴミ処理は少なくともエルラシディアのゴミ焼却場で見たものよりはいいはず。日本の知恵を何とかモロッコにも共有できればいいなと思ったと同時に、自国のゴミ処理についてもう少し知ってみようと思いました。